耳が聴こえにくくなったら、どうしますか?実際のところ、ご自身やご家族の耳の聴こえが悪くなってから初めて具体的にどうすればよいかを考える人がほとんど。なので、補聴器や集音器の違いがよく分からないと思います。どこで買うの?とか、どれを選べば、いいの?って疑問に感じる方は多くいるようです。

価格も高いものだと補聴器で両耳100万以上のものから、集音器で2,000円位のものまであります。まず違いを理解から購入を検討したほうがいいです。

補聴器とはどんなもの?

基本構造は、「マイクで音を拾い→アンプで増幅→スピーカーで出力(再生)」するものです。電源が必要なので、多くの補聴器は補聴器用空気電池を使います。

法律上、補聴器は「管理医療機器」です。

医薬品医療機器等法を基に認証を得ているものだけを「補聴器」と呼ぶことが出来ます。認証を得ていないものは、「補聴器」を名乗ることは違法になっていまいますので、「集音器」を「補聴器」と言って宣伝をしている事がありますが、本当はヤバイことなんです!!

「補聴器」として認証を得るには、かなり大変な労力が必要とされています。ですので、機器として法律で安全性・有効性を確保されたものとなります。

また補聴器を販売するには都道府県に対して届出をする必要があります。販売を行う営業所の構造や設備が一定の基準を満たしている必要があり、補聴器を取り扱う店舗に「補聴器営業所管理者」を設置しなければなりません

医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保し、国民の生命・健康を守る

医薬品・医療機器等の有効性・安全性を確保するため、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」に基づき、製造から販売、市販後の安全対策まで一貫した規制を行っています。

引用:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/index.html

もっとも人体への危険度が低いクラスから、副作用・機能障害などの不具合が生じた場合、人の生命・健康に重大な影響を与えるおそれがあるとして最も危険度が高いクラスまでに分類されており、補聴器は、クラスⅡ(管理医療機器)となっています。

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osamu
きちんと医療機器として認められているものだけを「補聴器」と名乗れるんですね。医療機器として認証を取るためには、物凄く大変みたいです。なので、集音器とは構造的には安全面では「似ていても非なり」なんだと思います

どんな形?補聴器の形状は、

大きく分けて3種類

・箱型 (ポケット型)
メリット:ボリュームなど目で見て操作できる。
デメリット:ケーブルが邪魔になる。マイクが服に当たり、着ズレの音が入る。


・耳掛け型
メリット:ある程度の大きさがあるのでボリュームなどしやすい。
デメリット:メガネやマスクが邪魔になる。汗に弱い。


・耳あな型(既製品とオーダーメイドがあります。)
メリット:目立たない。
デメリット:小さいので取扱いが難しい場合がある。

補聴器はどこで買えるのか?

補聴器販売店

要は補聴器を取り扱っている店舗です。大きく分けて2種類あります。

  1. 補聴器専門店(専門店)
  2. 兼業店(眼鏡店や電気店など補聴器以外を主として商いをしてる。)

どちらの場合でも、専門家(認定補聴器技能者)がいる店舗とそうでない店舗があります。

また耳鼻咽喉科のある病院(補聴器外来)などで補聴器を購入することが出来ます。聴こえに不安を感じたら、耳鼻科さんに受診する人も多いと思います。補聴器って病院で売っているの?と思いますよね。病院が直接、補聴器を販売しているところはあることにはありますが、実は少ないんです。補聴器外来というのがあって、補聴器販売店(業者)が来て対応していることがほとんどです。医師の指導の元に、販売をしているので安全面ではすごく安心できる反面、対応してもらえる時間が限られているので、ゆっくりと相談などがしにくいみたいです。補聴器販売店に紹介状を書いてくれる病院もあります。

通信販売(ネット、新聞や雑誌など)

「通信販売 補聴器」と検索すると、ネットで数多くの製品が表示されます。また新聞や雑誌などでも、数多くの製品が販売されています。ここで注意が必要なのは、補聴器でないもの補聴器として宣伝されていることが多くあります。

補聴器の売っているところについて詳しくはこちらの記事↓

補聴器販売店と通信販売の補聴器の違い

法律で認証された「補聴器」にも違いがあります。補聴器は「メガネ」が視力に合わすのと同様に、聴力に合わせるほうが良いです。※聴力とは、音を聞き取る能力で音の大きさ(強弱)や高低(音色)などを含みます。

店舗では聴力に基づいてお店の方が「調整」(フィッティング)を基本的に行います。

補聴器の性能も多岐にわたり調整が出来るもの取り扱っています。

通信販売の補聴器は自身で調整します。

通信販売で売っている補聴器の場合は調整する機能が付いていない。または少ないことが多いです。

価格・相場

補聴器販売店で売っている「補聴器」

50,000円位から500,000円位するものもあります。値段が高くなるにつれ、性能が上がっていきます。
価格には調整料やアフターメンテナンス料が含まれることが多いです。

通信販売(ネット、新聞・雑誌等)で売っている「補聴器」

20,000円位から300,000円位するものもあります。

補聴器用空気電池

補聴器は電気で動きますので、「補聴器用空気電池」が必要になります。
補聴器の種類によって、使えるサイズが異なります。
サイズは4種類あり定価ベースで1,200円から1,500円位します。
・PR536(10A)
・PR41(312)
・PR48(13)
・PR44(675)
(※ポケット型補聴器には一般的な単三電池、単四電池を使用します)

 補聴器用空気電池について詳しく記事はこちら↓

日本に流通している補聴器メーカーについて

かなりの種類のブランドや製品がありますが、大手の製造元は限られます。

また通信販売や有名販売元(オムロン、パイオニアなど)などでは自社生産ではなく下記の大手メーカーのOEMを販売している場合があります。

日本補聴器工業会(http://www.hochouki.com/)に加盟している補聴器メーカーの一覧(2019年)

・リオン          http://www.rionet.jp/
・コルチトーン  http://www.cortiton.com/
・パナソニック  https://panasonic.co.jp/ap/phi/
・リサウンド   https://www.resound.com/ja-jp
・ワイディックス https://japan.widex.com/
・シグニア(旧シーメンス)https://www.sivantos.jp/
・オーティコン  https://www.oticon.co.jp/
・フォナック http://www.phonak.jp/
・スターキー https://www.starkeyjp.com/
・NJH        http://www.njha.co.jp/
・マキチエ  http://makichie.co.jp/

勿論、上記の団体に加盟していないメーカーもあります。

補聴器の不思議

補聴器に関して補聴器販売店やメーカーの様々なサイトでは、きちんとした店舗で購入しましょうと書かれています。その一方、ネットや新聞・雑誌などで通信販売も行われています。なぜ?なんでしょうか。

補聴器は機器として「管理医療機器」認証を受けなければなりません。ですが、販売方法まで法律に明記されていません。

集音器とはどんなもの?

まず補聴器とは異なり、医療機器ではありません。いわゆる、「音響機器」でイヤフォンやヘッドフォンの分類に近いものです。
ですが、基本構造は補聴器とよく似ています。
「マイクで音を拾い→アンプで増幅→スピーカーで出力(再生)」するものです。
用途として、少し聴こえにくくなった方が使うイメージですが、医療機器としてではなく、あくまでも補助的に使うものでしょうか。

例えると、眼鏡を購入する際に視力検査をして目の度数に合わすことに対して、今、流行っている〇〇○ルーペなどの「眼鏡型のルーペ」との違いでしょうか。「眼鏡型のルーペ」は老眼鏡とは違います。ルーペを簡単に言えば、「単に文字や物体を拡大して見せるレンズ」で、老眼鏡を簡単に言えば「目のピント合わせ(調節機能)を手助けするレンズ」です。

集音器はどこで買えるのか?

補聴器販売店においてあることは少ないようです。
ほとんどがネット・通信販売などで、たまにドラッグストアーや家電量販店などにも置いてあります。基本的に調整等をお店の方がしてくれることはなく、ご自身で説明書を見ながら使い方や覚える必要があります。

価格・相場

補聴器と異なり法律の規制がないため、玉石混淆です。

海外製品で2,000円程度のものから有名メーカー(パイオニア・ソニーなど)で10万円位するものまであります。かなり製品によって差があるため「集音器」と一括りするのが難しい状態です。

最近、話題になりましたソニーの首かけ集音器SMR-10などは、3万円代でかなりの高性能です。

また株式会社シマダ製作所の「みみ太郎」シリーズは22年間で12万人も利用しています。このような製品もあるので、信頼できる製品を探す必要があります。

補聴器と集音器どちらがいいの?

実は、絶対にどちらがいいとは言い切れない実情があります。

どちらも抱えている問題点

国民生活センターには、補聴器販売店への相談が寄せられいています。

主な相談事例
【事例1】認知症気味の高齢者が補聴器を購入したが聞こえないので返品に行ったら、より高額なものを勧められた
【事例2】高齢者が補聴器の店に一人で出向いて、勧められるまま両耳分を契約したが、高額なため片耳分への変更を申し出たものの注文品なのでキャンセル不可といわれた
【事例3】同行者がいない間に補聴器を契約。使用すると頭痛がし、高額なため解約したい
【事例4】試聴した補聴器は聞こえたが購入したものは何度調整しても聞こえない
【事例5】メガネ店で高額な補聴器を購入したが、その後病院で「補聴器は使用しないほうがいい」と診断された
【事例6】補聴器の説明や調整などアフターケアを約束したのに自宅に来てくれない 


引用:国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140220_3.html

機器として「補聴器」が良くても「販売店」に問題があることがあるようです。
ですので、「補聴器」選びは、「販売店」選びが非常に重要になってきます。

通信販売の補聴器や集音器については国民生活センターが商品テストを行っています。

通信販売の補聴器等の安全性や補聴効果-販売サービスに関する調査も含めて
目的 補聴器を装用して十分な効果を得るためには個人の難聴の程度等に合わせた適切なフィッティングが重要とされる。しかし、現状では補聴器のフィッティングに関する専門的な資格はなく、業界の自主的な認定制度等に委ねられている。一方、インターネット等の通信販売でも、補聴器や、医療機器ではない「集音器等」が数多く販売されている。
 そこで、通信販売の補聴器及び集音器等について、安全性や補聴効果に関するテスト、モニターによる装用テスト等を行い、個人に合わせたフィッティングなしに販売される補聴器等の問題点を調べた。また、補聴器販売店を対象にアンケート調査を行い、補聴器販売サービスの実態と問題点を消費者に情報提供することとした。


引用:国民生活センター http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20070906_1.html

国民生活センターがテストしたのは、一部の商品です。市場には、数十から数百の種類の補聴器・集音器が販売されています。体につけるものなので、それを見極めることが非常に重要になります。

まとめ

ご自身の聴こえに合わす事を第一優先で考えるなら、補聴器販売店で「補聴器」を検討することが一番だと思います。ただ、金額が高くなることが多いです。あるデータを見ると補聴器販売店での平均販売価格が10万円以上です。聴覚で障害者手帳を取得した場合、自治体から購入助成もありますが、高度難聴者や重度難聴者を対象にしていますので、少し聞きにくい方は対象にならないようです。また国民生活センターの相談にもあるように「販売店」選びが大切です。

もし価格面で無理がある場合は、通信販売の「補聴器」か「集音器」を選択する場合があると思います。このような場合は、製品の吟味が非常に大切となってきます。

ヒント

・日本で有名なメーカーや販売会社である。
  保証や問合せがしっかりしている。
・ホームページにお客様のレビューに良い事も悪い事も書いてあるか?
  良い事だけのレビューはあまり信じられませんよね。

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osamu
補聴器販売店で両耳100万円以上する補聴器もあります。金銭的に余裕がある方は買えるかもしれません。
…が、私には無理そうです。

補聴器・集音器ともに色々な製品と販売形態があります。
価格や安全だけでなく、聴こえに関して困っていることを少しでも楽になるものを選びたいですね。